

Iconic Songs, A New Perspective.

LUTILUが語る、
カバーアルバムに込めた想い
私たちは、何度も聴いた曲を「知っている」と思っています。
けれど、演奏する人が変わり、音が変わり、視点が変われば、その曲にはまだ誰も知らなかった表情があるのかもしれない。
世界中で愛されてきたポップソングを、ピアノ、オーケストラ、シネマティックサウンド、エレクトロニック、そして即興演奏を通して、LUTILU自身の音楽世界へ。
カバーするのではなく、もう一度、想像する。
REIMAGINED。LUTILUにとって大きなプロジェクトとなるこのアルバムについて、制作を始めた理由、カバーという表現への想い、そしてその先に描いている未来について聞きました。
Q. Why did you decide to create a cover album at this point in your career?
まず、なぜ今「カバーアルバム」を作ろうと思ったのでしょうか?
私は昔から、曲をそのまま弾くということがあまり得意ではなかったんです。もちろん原曲へのリスペクトはすごくあります。でもピアノの前に座って好きな曲を弾いていると、自然と「ここはこう弾いてみたい」「このメロディ の後にこんなフレーズを入れてみたい」「もしここにストリングスが入ったらどうなるだろう」と考えてしまう。気がつくと、原曲とは少し違う世界になっていることが多くて。SNSにピアノ演奏を投稿してきた中でも、私はずっとそういうことをやってきたんだと思います。だから今回も、「有名な曲を集めたカバーアルバムを作りたい」というより、自分がこれまでやってきた“音楽を自分なりに解釈すること”を、一枚の作品として残したいという気持ちのほうが強いです。
Q. What does the title “REIMAGINED” mean to you?
タイトルの「REIMAGINED」には、どんな意味がありますか?
“Reimagine”という言葉には、すでに存在しているものを、もう一度、新しい視点から想像するという意味があります。
この言葉を見たときに、「まさに今回やりたいことだ」と思いました。
カバーというと、原曲に近づけて演奏する方法もありますよね。それも素晴らしいと思います。
でも今回私がやりたいのは、そこではありません。例えば、誰もが知っているポップソングをピアノだけで始めて、そこから映画音楽のような壮大な世界に持っていったらどうなるんだろう。逆に、とても華やかな原曲からいろいろな音を取り除いて、ピアノとストリングスだけにしたら、そのメロディはどんな表情を見せるんだろう。ElectronicやEDMのサウンドと自分のピアノを組み合わせたらどうなるんだろう。
そういうことを一曲ずつ考えています。だから、聴いた人に最初は「あ、この曲知ってる。」と思ってもらって、その少し後に「でも、こんなふうに聴いたことない。」と思ってもらえたら嬉しいです。それが「REIMAGINED」というタイトルに込めた一番大きな意味です。
Q. Does the album have one specific genre?
今回のアルバムには、ひとつのジャンルがあるのでしょうか?
実は、あえて決めていません。
ピアノ、オーケストラ、ストリングス、シネマティックな音、Electronic、EDM、即興……。そういったものは私の中で大切な要素ですが、「全部の曲に全部入れよう」とは思っていません。曲にはそれぞれ性格があると思うんです。すごく壮大な世界が似合う曲もあれば、ピアノとストリングスだけのほうが心に届く曲もある。逆に、ビートやElectronicの要素を入れることで、原曲とはまったく違う魅力が出てくる曲もあります。だから先にジャンルを決めて曲を当てはめるのではなく、「この曲には、まだどんな可能性が残っているんだろう?」というところから考えています。
アルバム全体をつなぐものはジャンルではなく、**“LUTILUがその曲をどう見たか”**という視点なんだと思います。

それでも「ピアノ」はアルバムの中心なのでしょうか?
はい。そこはすごく大切です。どれだけオーケストラが大きくなっても、Electronicな作品になっても、私にとってピアノは自分の声に一番近い楽器だと思っています。言葉では説明できない感情でも、ピアノなら表現できることがある。楽譜に書いてある音だけではなくて、音を出すタイミングだったり、少し溜めたり逆に前に進んだり、強く弾いたり、ほとんど聞こえないくらい弱く弾いたり。そういうものに、その人自身が出ると思うんです。だからこのアルバムでもピアノは単なる楽器の一つではなく、LUTILUという人間を音楽の中に残すための存在だと思っています。資料の制作方針でも、ジャンルやプロダクションが変わってもLUTILUのピアノを音楽的アイデンティティの重要な部分として残すことを掲げています。
「芸術性」と「ポップさ」の両方を大切にしているそうですね。
これは今回、すごく意識しています。自分が好きなことだけを突き詰めれば、もっと複雑にもできるし、もっと実験的にもできると思います。でも私は、難しい音楽を作りたいわけではないんです。音楽に詳しい人だけではなくて、たまたまInstagramで流れてきた人や、Spotifyで偶然見つけた人にも、「なんか好き」「もう一回聴きたい」と思ってもらいたい。その直感って、とても大切だと思っています。だから今回のキーワードの一つが、Artistic but Accessible.Unique but Catchy.Sophisticated but Pop.なんです。 芸術性と商業性をどちらか一方にするのではなく、両方を成立させたい。それは今回のアルバムで挑戦したいことの一つです。
なぜ、あえて世界的に知られている曲を選んでいるのでしょう?
知られている曲には、すでにリスナーとの思い出があります。「学生の頃に聴いていた」とか、「この曲を聴くとあの時を思い出す」とか。音楽って、記憶とすごく結びついていますよね。だから有名な曲を選ぶことは、単に「有名だから」ということではなくて、リスナーと私の間に最初から一つの共通言語があるということだと思っています。その共通言語を入口にして、そこから少しずつ私の世界へ連れていきたい。最初は曲のタイトルを見て、「この曲好きだから聴いてみよう」だったとしてもいいんです。でもいつか、「この曲だから」ではなく、「LUTILUのアレンジだから聴いてみたい」と思ってもらえたら。それが今回のプロジェクトで一番叶えたいことかもしれません。
制作では、アレンジャーやプロデューサーとも共同制作を行うのですか?
はい。私からピアノ、デモ、構成、使いたい楽器やサウンド、参考にしている音楽などを伝えて、そこから一緒に作品を発展させていきます。今回とても大切にしているのは、ただ「私の指示通りに音を作ってもらう」という関係にしないことです。私一人では思いつかなかったアイデアが相手から出てきて、それを聞いて私がまた別のアイデアを思いつく。その繰り返しによって、最初のデモから想像していなかった場所まで曲が成長することがあります。だから私は、アレンジャーやプロデューサーを単なる作業者ではなく、一緒に新しい音楽の世界を作るクリエイティブ・パートナーだと思っています。
「原曲へのリスペクト」と「大胆に変えること」は矛盾しませんか?
私は、むしろ原曲を大切に思っているからこそ、新しい可能性を探したいと思っています。メロディには、その曲がその曲であるための核があります。そこは大切にしたい。でも、アレンジや楽器、リズム、音の空間まで同じにする必要はないと思っています。原曲の素晴らしさを証明するために原曲をコピーするのではなくて、「こんな景色の中に置いても、このメロディはこんなに美しいんだ」と見せることも、一つのリスペクトだと思うんです。今回の資料でも、原曲のメロディと認識 できる本質を尊重しながら、プロダクション自体は新しく構築することをコンセプトにしています。
このアルバムを聴く人に、一番感じてもらいたいことは?
難しく考えず、まず楽しんでほしいです。「すごいアレンジだな」と分析してもらうことよりも、「好き。」と思ってもらえることのほうが嬉しいかもしれません。そして、もう一回聴きたいと思ってもらえたら。誰かに送りたいと思ってもらえたら。さらにその先で、「LUTILUって他にどんな曲をやっているんだろう?」と思ってもらえたら、最高です。このアルバムが、私の音楽を初めて知ってくれる人との出会いの場所になればいいなと思っています。
LUTILUにとって、「REIMAGINED」とは?
音楽だけの話ではないような気がしています。同じものでも、見る角度を変えると、まったく違って見えることがあります。すでに知っていると思っていたものの中にも、まだ知らない美しさがある。音楽も、人も、人生も、もしかしたらそうなのかもしれません。私は今回、世界中の人が知っている曲を、自分の耳、自分の感覚、自分のピアノを通してもう一度見つめ直しています。そして完成したものを、今度は皆さんに渡したい。そこでまた、それぞれの人が自分なりの感じ 方をしてくれたら嬉しいです。知っている音楽を、知らない景色へ。それが、私にとっての「REIMAGINED」です。

REIMAGINED
Iconic Songs, A New Perspective.
Reimagined through the World of LUTILU.
